はじめに
都立中等の適性検査は、単なる知識テストではなく「複数資料を横断して考える力」を測るものです。文章・グラフ・図版・実験結果などを組み合わせて読み解き、自分の言葉で論理的に表現できるかが評価の軸になっています。例えば南多摩の公式資料では、適性Ⅰ=長文読解+300~400字の記述、適性Ⅱ=数量・社会・理科を横断する資料活用問題が示されており、前年とほぼ同様の設計が継続されていることが確認できます。本稿では、この「資料統合型」継続の意味と、受検生・家庭・塾が取るべき備えを整理して解説します。
ニュース概要 ― 何が話題なのか
東京都立南多摩中等教育学校の「出題の基本方針等」では、出題の狙いとして 読解力・資料活用力・多面的思考力・論理的表現力 が掲げられています。形式は 適性Ⅰ(文章読解+記述)と適性Ⅱ(複数資料の統合活用)。適性Ⅰは300~400字記述が課され、適性Ⅱでは数量データ・社会的テーマ・理科的実験結果を関連づけて考察する力をみています。前年資料も同趣旨であり、都立中等の出題が“継続型”であることが明確です。
出題形式の中身 ― どこが“横断”か
適性Ⅱでは、数量分野(グラフ・表)+社会分野(制度・選択)+理科分野(実験結果)といった複数領域の資料が提示されます。設問は単独資料で解けるものもありますが、資料同士を比較・関連づけないと答えが出せない設計が基本です。例えば「グラフの傾向」+「社会的な条件」+「実験データ」を組み合わせて解答させる問題構造は典型的で、“教科の壁を越えた論理構築”が不可欠となります。

実務解説 ― どう備える?
合否を分けるのは、資料処理の順序と精度です。実戦的には、①設問条件をマーキング、②複数資料から根拠を収集、③不要情報を整理、④数値・概念をメモ化、⑤文章化という定型手順の反復が効果的。記述は「結論→理由→資料引用→再結論」の型を固定化し、答案に必ず資料の根拠を織り込むことが重要です。適性Ⅱでは、「資料A=傾向」「資料B=制約」「資料C=具体例」のように役割分担を決め、表にまとめてから答案に落とすと安定します。
なぜ都立は「資料統合型」なのか
公式の基本方針では、知識の量ではなく「情報の再構成力」が重視されています。これは学習指導要領の理念(言語活動の充実・探究的な学び)とも一致しており、単独知識ではなく「資料を組み合わせてよりよい解決策を導く力」を評価する意図があると考えられます。つまり、長文+資料+論述の三位一体型は今後も続くとみてよいでしょう。
塾・予備校関係者への注目点
① 横断型演習の常設化
毎週1回、グラフ・記事・図版を組み合わせた総合問題を解き、声に出して根拠を言い換える口頭演習をセット化。
② ルーブリックによる評価観点の共有
傾聴・説明・協働に加え、資料引用・論理展開・接続語の活用を三段階評価。生徒にも提示し自己評価を促す。
③ 時間配分の徹底
適性Ⅰは「読解15分→要約5分→構成5分→記述20分」、適性Ⅱは1大問7~8分のペースを定着させる。
まとめ
都立中等の適性検査は、文章・数量・社会・理科を横断して統合的に考える「資料統合型」を継続しています。南多摩の公式資料でも、適性Ⅰ=長文+300~400字記述/適性Ⅱ=複数資料の関連づけが明記され、前年方針と連続している点が確認できます。準備の軸は、設問条件を先に把握し、資料を横断して根拠を拾う定型手順。塾にとっては、横断資料を扱う演習枠・ルーブリックによる観点共有・時間配分の徹底が重要です。奇をてらう必要はなく、「根拠を明示した論理的な表現」を積み上げることこそ、合格への最短ルートとなります。


