はじめに
愛知県の県立附属中と聞くと、どうしても「適性検査はあるのか」「倍率はどうなるのか」といった受検目線で見てしまいがちです。ですが、日進高等学校附属中学校は、同じ県立附属中でも少し位置づけが異なります。愛知県は令和8年度の制度で、日進高附属中については学びの多様化学校の特性を踏まえ、入学者選抜を実施しないと明記しました。つまり、一般的な“受検校”として理解するとズレが生じやすい学校です。今年の制度設計を知っておくことは、来年に向けた情報収集の出発点にもなります。まずは事実関係を落ち着いて整理していきましょう。
ニュース概要――何が話題なのか
今回のポイントは、愛知県が令和8年度の附属中学校入学者選抜実施要項で、日進高等学校附属中学校については「学びの多様化学校の特性を踏まえ、入学者選抜を実施しない」と明記したことです。一方で、県の同じ案内ページには「令和8年度日進高等学校附属中学校入学者選考」という別立ての項目も置かれており、まったくの無条件入学ではありません。つまり、通常の選抜方式ではなく、学校の趣旨に沿った別の方法で入学者を決める学校だと理解するのが正確です。
なぜ「入学者選抜を実施しない」のか
背景にあるのは、この学校が“競争でふるい分ける場”というより、不登校を経験した子どもが安心して学び直しや中高一貫の学びにつながる場として設計されていることです。文部科学省は、学びの多様化学校について、不登校児童生徒等の実態に配慮した特別の教育課程を編成できる学校と説明しています。愛知県議会の審査でも、日進高附属中は不登校を経験した生徒が自分のペースで安心して学ぶための特別なカリキュラムを編成できる学校と説明されています。こうした学校で、他の附属中と同じ適性検査中心の方式をそのまま当てはめないのは、制度の筋として自然です。
実際にはどうやって入学が決まるのか

令和8年度の進捗資料と募集資料を見ると、日進高附属中は学校説明会、学校体験、個別面談により児童の状況を確認し、入学者を決定する運用でした。さらに募集資料では、出願できる者として、原則として年間30日以上の欠席、在籍校や教育支援センター、フリースクール等の支援を受けていること、学校説明会・学校体験・個別面談への参加、学校への理解と学ぶ意欲などが示されています。令和8年度入学者選考では、入学希望者は在籍小学校の校長に申し出る流れも明記されました。ここから見えてくるのは、筆記試験対策よりも、学校との適合や支援の接続を丁寧に見る仕組みだということです。
保護者が押さえたい見方
保護者の立場で大事なのは、「受かるか」だけで見るのではなく、「この学校で落ち着いて学べるか」を見ることです。日進高附属中の制度は、一般的な進学校型の県立附属中とは入口の考え方がかなり異なります。だからこそ、情報収集でも「倍率」「問題傾向」だけを追うのではなく、学校説明会で何を大切にしているのか、学校体験で本人が無理なく過ごせるか、保護者としてどこまで支えられるかが大きな判断材料になります。来年以降を考える家庭ほど、受検テクニックより先に、学校の目的との相性を見極めたいところです。
塾・予備校関係者への注目点
このテーマは、塾が無理に“受検ノウハウ化”しないほうがよい分野です。そのうえで関係がありそうなのは2点あります。第一に、保護者向けの制度理解支援です。日進高附属中は通常の選抜校と違うため、県資料をかみくだいて説明する役割には価値があります。第二に、学校・家庭・支援機関をつなぐ情報整理です。要件には教育支援センターやフリースクール等の支援も含まれており、単なる受検指導ではなく、進路整理の伴走ニーズが出やすい領域だと考えられます。
まとめ
愛知県の日進高附属中は、「県立附属中なのに入学者選抜を実施しない」という点で注目されますが、実態は「選抜がない学校」というより、学びの多様化学校として、通常の受検方式とは別の選考を行う学校と捉えるのが正確です。令和8年度の運用では、学校説明会・学校体験・個別面談を通じて児童の状況を確認し、入学可否を決める形が示されました。来年に向けて見るなら、ここで大切なのは問題演習の量より、学校の目的と本人の状態が合っているかを早めに確かめることです。言葉だけ追うと誤解しやすいテーマだからこそ、制度の趣旨から読む姿勢が大事になります。
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参考・出典
- 愛知県「あいちの学び推進課 県立附属中学校の入学者選抜等について」
- 愛知県「令和8年度愛知県立附属中学校入学者選抜実施要項」
- 愛知県「令和8年度愛知県立附属中学校入学者の募集について」
- 愛知県「中高一貫教育の導入に係る進捗状況について」
- 愛知県議会「教育・スポーツ委員会審査状況(令和7年3月14日)」
- 文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)について」

