はじめに
静岡県立浜松西高等学校中等部(以下、浜松西高中等部)は、静岡県が設置する併設型の中高一貫教育校の中等部である。2026年度(令和8年度)の志願倍率は2.16倍で、2027年度(令和9年度)の総合適性検査と作文は2027年1月9日(土)、面接は1月10日(日)に行われる。
本記事では、浜松西高中等部の概要と倍率、総合適性検査・作文・面接の配点と準備の進め方、県内で同じ日に検査を行う静岡県立清水南高等学校中等部(以下、清水南高中等部)・沼津市立沼津高等学校中等部(以下、沼津市立沼津高中等部)との違いを、静岡県教育委員会・沼津市・学校公式サイトの公表資料に基づいて整理する。
静岡県立浜松西高等学校中等部の概要
浜松西高中等部は、静岡県立浜松西高等学校に併設された中等部である。併設型とは、同じ設置者のもとで中学校と高等学校を接続し、高等学校段階でも入学者を募集しながら6年間の一貫教育を行う形態を指す。高等学校段階での入学者の募集を行わない中等教育学校とは、この点が異なる。
浜松西高等学校は2002年(平成14年)4月に中高一貫教育を始めた。2027年度(令和9年度)の募集定員は140人で、通学区域は県内全域、入学検定料は2,200円である。
学校は校訓「知・仁・勇」を掲げ、「身に付けたい10の力」として課題発見解決能力などの育成を教育の柱にしている。探究のプログラムや文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の指定など、学びの特色は次の章以降で紹介する。
静岡県立浜松西高等学校中等部の倍率・難易度【2026年度実績】
2026年度(令和8年度)の浜松西高中等部は、募集定員140人に対して志願者303人で、志願倍率は2.16倍であった。志願倍率は、志願者数を募集定員で割った値である。合格者数は140人であった。
| 年度 | 志願者数 | 志願倍率 |
|---|---|---|
| 2026年度(令和8年度) | 303人 | 2.16倍 |
| 2025年度(令和7年度) | 308人 | 2.20倍 |
2026年度は前年と比べて志願者が5人減り、志願倍率も2.20倍から2.16倍へ下がったが、2年続けて2倍を超えている。年度ごとの小さな上下よりも、2倍前後の倍率が続いていることを前提に準備を進めたい。
静岡県の公立中高一貫校のうち、中等部の入学者選抜を行うのは、浜松西高中等部、清水南高中等部、沼津市立沼津高中等部の3校である。2026年度の志願倍率は次のとおりである。
| 学校名 | 設置者 | 募集定員(2026年度) | 志願倍率(2026年度) |
|---|---|---|---|
| 浜松西高中等部 | 静岡県 | 140人 | 2.16倍 |
| 清水南高中等部 | 静岡県 | 105人 | 0.79倍 |
| 沼津市立沼津高中等部 | 沼津市 | 70人 | 1.49倍 |
同じ県内の公立中でも、志願倍率には学校によって差がある。清水南高中等部は志願者数が募集定員を下回り、沼津市立沼津高中等部は2026年度に募集定員が80人から70人に変わっている。倍率は年度によって変動し、設置者や教育の特色も学校ごとに異なるため、倍率の数字だけで志望校を判断するのは避けたい。
なお、偏差値は模試によって受検者の層や算出方法が異なり、同じ学校でも模試ごとに差があるため、本記事では数値を示さない。総合適性検査は、知識の量よりも思考力・判断力・表現力を総合的に見る検査であるため、早い時期から適性検査の形式の問題や適性検査型模試に取り組み、時間配分と答案の書き方に慣れておきたい。
▶ あわせて読みたい:【静岡県立中等部の志願倍率が“動いた年”】【浜松西2.2倍×清水南0.8倍】数字の読み方と、家庭・塾の打ち手をやさしく解説
静岡県立浜松西高等学校中等部の特色
浜松西高中等部の学びは、探究を軸にしている。ここでは、学校公式サイトで公表されている取り組みを整理する。
校訓「知・仁・勇」と「身に付けたい10の力」
浜松西高中等部は校訓「知・仁・勇」を掲げ、「身に付けたい10の力」を示して課題発見解決能力の育成を重視している。教科の知識を身につけるだけでなく、自ら課題を見つけ、考え、解決に向けて行動する力を6年間かけて育てることをめざしている。
文理の枠を越えた探究「浜西総探プログラム」と「DXハイスクール」
探究学習の中心は「浜西総探(はまにしそうたん)プログラム」である。6つの問い(6Qs)を軸に、文系・理系の枠を越えて教科の知識を組み合わせる探究に取り組む。また、浜松西高等学校は2024年度(令和6年度)に文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の指定を受けており、デジタル機器や情報を活用した学びの環境を整えている。
中等部の海外研修旅行と制服の自由選択
中等部の海外研修旅行は、2026年度(令和8年度)から行き先をベトナム・ハノイとしている。また、2021年度(令和3年度)からは制服の完全自由選択制を導入しており、生徒が自分の判断で服装を選べる。各取り組みの最新の内容は、学校説明会や公式サイトで確認してほしい。
入学者選抜の形態と2027年度(令和9年度)の日程
静岡県立の中等部の入学者選抜は、総合適性検査Ⅰ・Ⅱ、作文、面接で行われる。2027年度(令和9年度)の実施要領に示された時間と配点は、次のとおりである。
| 検査 | 時間(2027年度) | 配点 |
|---|---|---|
| 作文 | 9時05分〜9時55分(最大50分、途中退室も可) | 30点 |
| 総合適性検査Ⅰ・Ⅱ | Ⅰ:10時15分〜11時05分(50分)/Ⅱ:11時30分〜12時20分(50分) | 計120点 |
| 面接 | 1月10日(日)9時00分以降(「グループ面接及び個人面接又は集団面接」) | 20点 |
| 合計 | ─ | 170点 |
配点の合計170点のうち、総合適性検査が120点と約7割を占める。一方で、作文30点と面接20点も合否の判定に用いられるため、総合適性検査だけに偏らない準備が必要である。
合格者は、次の3つの段階で決定される。
| 段階 | 主な判定の資料 | 決定する人数 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 総合適性検査、作文、面接の結果 | 募集定員の70%程度 |
| 第2段階 | 調査書の各教科の学習の記録、総合的な学習の時間の記録、特別活動の記録及び諸活動の記録等 | 募集定員の15%程度 |
| 第3段階 | 総合適性検査、作文、面接の結果と調査書などの総合審査 | 募集定員の15%程度 |
検査の結果が重視される一方で、調査書も合格者の決定に一定の割合で用いられる。小学校での日々の学習も、選抜の資料の一つになることを理解しておきたい。2027年度の日程は次のとおりである。
| 項目 | 2027年度(令和9年度)の日程 |
|---|---|
| 出願の申請(ふじのくに電子申請サービス) | 2026年11月16日(月)〜12月4日(金)午後5時 |
| 入学願書などの受付(郵送) | 2026年12月7日(月)〜12月10日(木)必着 |
| 入学検定料の納付 | 2026年12月12日(土)〜12月17日(木)午後3時 |
| 総合適性検査・作文 | 2027年1月9日(土) |
| 面接 | 2027年1月10日(日) |
| 合格者の発表 | 2027年1月20日(水)正午以降 |
| 入学意思確認書の提出 | 2027年1月20日(水)午後1時〜1月22日(金)午後4時30分 |
静岡県教育委員会のページでは、「ふじのくに電子申請サービス」を活用した出願の説明動画(約20分)が配信されている。出願は電子申請と書類の郵送に分かれ、入学検定料の納付期間も別に設けられているため、それぞれの期限を家庭のカレンダーに書き込んでおきたい。
入学者選抜の対策
ここでは、公表されている検査の構成に合わせた準備の進め方を、一般的な学習の進め方として整理する。
総合適性検査Ⅰ・Ⅱ(計120点):資料を読み取り、筋道を立てて答える
総合適性検査Ⅰ・Ⅱでは、複数の資料やグラフ、条件をもとに筋道を立てて考え、答えを導く力が求められると考えられる。日頃から、算数・理科・社会などの枠を越えて「なぜそうなるのか」を言葉で説明する習慣をつけておくとよい。図表やグラフを読み取り、資料から分かることと分からないことを分ける練習も役に立つ。各50分の中で解き終えるには、問題全体を見渡して取り組む順番を決めることも必要である。適性検査型模試を受けて、時間配分の感覚を早めに身につけておきたい。
▶ あわせて読みたい:【2027年受検】過去問はいつから?“解く→直す→伸ばす”の回し方
作文(30点):条件に沿って考えを書く
作文の検査時間は最大50分である。与えられたテーマに対して、自分の考えを筋道立てて書く力が求められると考えられる。文章を読んで要点を短くまとめる練習や、条件に沿って自分の意見を書く練習を重ねるとよい。書いた作文は書いたままにせず、指導者や保護者の方に読んでもらい、「主張が明確か」「理由や具体例があるか」「条件を満たしているか」を確かめながら見直したい。書く力は短い期間では身につきにくいため、早い時期から少しずつ書く量を増やしていくことが大切である。
面接(20点):自分の言葉で伝え、他の人の発言を受け止める
2027年度の実施要領では、面接は「グループ面接及び個人面接又は集団面接」で行うとされている。自分の考えをはっきり伝えることと、グループの中で他の人の発言を落ち着いて受け止める姿勢の両方が見られると考えられる。身近な話題や自分の関心について、結論から先に短く話す練習を重ねておくとよい。答えを丸暗記して一方的に話すのではなく、自分の言葉で受け答えができるように準備したい。家庭で模擬的なやり取りを行い、緊張する場面でも落ち着いて話す経験を積んでおくと役に立つ。
静岡県立清水南高等学校中等部・沼津市立沼津高等学校中等部との比較と志望校の選び方
静岡県で中等部の入学者選抜を行う公立中高一貫校3校は、設置者と募集定員が異なり、募集要項も設置者ごとに定められている。2027年度(令和9年度)の状況を比べると次のとおりである。
| 学校名 | 設置者 | 募集定員(2027年度) | 選抜の配点 |
|---|---|---|---|
| 浜松西高中等部 | 静岡県 | 140人 | 総合適性検査120点、作文30点、面接20点 |
| 清水南高中等部 | 静岡県 | 105人 | 総合適性検査120点、作文30点、面接20点 |
| 沼津市立沼津高中等部 | 沼津市 | 70人(市外は募集定員の25%以内) | 募集要項に記載なし(沼津市教育委員会などに確認) |
浜松西高中等部と清水南高中等部はどちらも静岡県立で、同じ実施要領に基づいて選抜が行われる。総合適性検査・作文・面接の配点が共通しているため、準備の方向性も重なる部分が大きい。一方、沼津市立沼津高中等部は沼津市が設置する学校で、募集要項も沼津市が定めている。作文・総合適性検査の時間は県立2校と同じだが、配点は沼津市の募集要項に示されていない。配点などの詳細は、沼津市教育委員会(教育企画課)または沼津市立沼津高中等部に問い合わせて確認してほしい。
志望校選びで特に注意したいのが、3校の日程である。2027年度は3校とも、総合適性検査・作文が2027年1月9日(土)、面接が1月10日(日)、合格者の発表が1月20日(水)正午以降と同じ日程である。検査日が重なるため、3校のうち複数校を受検することはできない。通学のしやすさや校風、教育の特色を踏まえ、志望する1校を早めに決めておくことが現実的な進め方である。
倍率は年度によって変動するため、志望校は倍率だけでなく、探究のプログラムや校風、通学の負担、6年間で育てようとする力との相性もあわせて考えたい。「6年間を過ごしたいのはどの学校か」という視点で学校説明会に参加すると、比べるための材料を集めやすい。
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まとめ
静岡県立浜松西高等学校中等部は、校訓「知・仁・勇」のもとで探究を軸にした学びを進める併設型の中高一貫教育校である。2026年度(令和8年度)の志願倍率は2.16倍で、2027年度(令和9年度)の検査は2027年1月9日(土)・10日(日)に行われる。配点の構成と日程を確かめたうえで、総合適性検査・作文・面接の準備を計画的に進めたい。
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よくある質問
浜松西高中等部・清水南高中等部・沼津市立沼津高中等部は併願できるか
出願の手続きはどのように進むか
総合適性検査・作文・面接の配点はどうなっているか
浜松市の外に住んでいても出願できるか
志願倍率2.16倍はどのように読めばよいか
参考・出典
- 静岡県教育委員会「県立高等学校中等部入学者選抜関係」(2026年10月16日更新)https://www.pref.shizuoka.jp/kodomokyoiku/school/kyoiku/1003764/1003891/1031858.html(確認日:2026年10月)
- 静岡県教育委員会「令和9年度静岡県立高等学校中等部入学者選抜実施要領」(PDF)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/031/858/r9cyuutoubujissiyouryou.pdf(確認日:2026年10月)
- 静岡県教育委員会「令和9年度 静岡県立高等学校中等部入学者 募集要項」(PDF)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/031/858/r9cyuutoububosyuuyoukou.pdf(確認日:2026年10月)
- 静岡県教育委員会「令和9年度静岡県立高等学校中等部入学者選抜に係る実施日程」(PDF)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/031/858/r9tyutobusenbatu.pdf(確認日:2026年10月)
- 静岡県教育委員会「令和9年度沼津市立沼津高等学校中等部入学者選抜に係る実施日程」(PDF)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/031/858/r9numadusityutobusenbatu.pdf(確認日:2026年10月)
- 静岡県教育委員会「令和8年度 静岡県立高等学校中等部入学者選抜 志願状況」(PDF)(2025年12月19日発表)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/031/858/reiwa8kenritutyuuoububairitu3.pdf(確認日:2026年10月)
- 静岡県教育委員会「令和8年度 静岡県立高等学校中等部入学者選抜実施状況(合格者数等)」(PDF)(2026年1月21日発表)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/031/858/r8kenritukoukougoukakusha.pdf(確認日:2026年10月)
- 沼津市「令和8年度 沼津市立沼津高等学校中等部 入学者選抜志願状況・実施結果」(2026年1月21日更新)https://www.city.numazu.shizuoka.jp/kurashi/kyoiku/kyoiku/numazushi/r8_chutobushigan.htm(確認日:2026年10月)
- 沼津市「令和9年度 沼津市立沼津高等学校中等部 生徒募集要項」(PDF)(掲載ページ「中高一貫教育」の更新日:2026年9月28日)https://www.city.numazu.shizuoka.jp/kurashi/kyoiku/kyoiku/numazushi/doc/chuukou_r9youkou.pdf(確認日:2026年10月)
- 静岡県立浜松西高等学校「沿革概要」(PDF)https://www.edu.pref.shizuoka.jp/_files/00265911/r8enkaku.pdf(確認日:2026年10月)
- 静岡県立浜松西高等学校「特色ある教育」https://www.edu.pref.shizuoka.jp/hamamatsunishi-h/about/features.html(確認日:2026年10月)
※ 本記事の数値・日程は、静岡県教育委員会・沼津市・学校公式サイトの発表をもとに作成している。倍率は年度によって変動し、日程や選抜の方法は年度ごとに定められるため、出願の際は最新の募集要項で確認してほしい。(最終更新:2026年10月)



